ベトナムのオフショア開発で失敗しないための対策と注意点

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ベトナムは日本企業のオフショア開発先として人気が高く、コスト面や人材の豊富さで注目を集めています。しかし、実際にはベトナムでのオフショア開発が思うように進まず失敗するケースも少なくありません。本ページでは、ベトナムでのオフショア開発が失敗しやすい原因と、その回避方法、成功に導くための具体的な対策を解説します。

なぜベトナムのオフショア開発で失敗が起きるのか

失敗の背景には、単なる技術力の問題ではなく、文化・マネジメント・契約形態といった構造的な要因があります。ベトナムのエンジニアは優秀で勤勉ですが、日本企業側がその特性を理解しないまま発注を進めると、認識のズレや品質トラブルにつながることがあります。

1. 指示が曖昧で伝わらない

日本側が「暗黙の了解」で進めることに慣れている一方で、ベトナムのエンジニアは明確な仕様書と指示を重視します。指示内容が抽象的だったり、目的や背景を共有していなかったりすると、開発側は「想定通りに動いた」と思っても、日本側からは「違う」と判断されるケースが多発します。

2. コミュニケーション頻度の不足

時差が2時間程度と小さいため安心してしまい、日次の報告やレビューが後回しになることがあります。これにより、誤解や仕様変更が発覚するのが遅れ、修正コストが増大します。週次会議だけでは不十分で、チャットやタスク管理ツールでの常時コミュニケーションが欠かせません。

3. 品質基準のすり合わせ不足

「テスト完了」と「品質保証」の定義が日本と異なることがあります。たとえば「単体テストが終われば完了」と考える文化と、「業務シナリオを通したE2Eテストまで完了して完了」と考える文化では、完成ラインが異なります。品質の基準を数値で合意していないと、最終的な満足度に差が生まれます。

4. 担当者の入れ替えが多い

ベトナムのIT業界は人材流動性が高く、契約途中で主要メンバーが退職・異動するケースも珍しくありません。仕様の引き継ぎやナレッジ共有が不十分なままメンバーが変わると、開発効率が大きく低下します。契約時に「担当変更時の引き継ぎルール」を明文化しておくことが大切です。

5. コスト重視で委託先を選定

「とにかく安く」を優先してベンダーを選ぶと、品質・体制・マネジメント力の差が大きく出ます。価格だけで判断せず、プロジェクトマネージャーの日本語力や経験値、サポート体制を総合的に評価する必要があります。短期的なコスト削減より、長期的な信頼関係構築を重視することが成功の近道です。

よくある失敗事例

ケース1:仕様確定前に開発が進行

発注側がスケジュールを優先して仕様を固めないままスタートした結果、途中で要件変更が頻発し、テスト段階で大幅な修正が必要になったケースがあります。これは、契約形態を請負型にしてしまったことも原因のひとつです。ベトナムでは柔軟な変更がしにくいため、準委任型やラボ型契約のほうが適しています。

ケース2:品質検証が日本側任せ

ベトナムチーム側で単体テストまでは行っても、総合テストや負荷テストを日本側が担当するケースが多く見られます。その結果、バグ修正の往復が増え、リリースが遅延します。テスト責任をどちらが持つのか、最初に契約書で明確化することが重要です。

ケース3:日本語ブリッジSEの負担過多

日本語と英語の両方を理解できるブリッジSEに業務が集中し、負荷が高まることで情報の伝達遅れや漏れが発生します。ブリッジSEを「翻訳者」ではなく「プロジェクトコーディネーター」として配置し、各チームメンバーが英語で直接やり取りできる環境を整えるとリスクが減ります。

失敗を防ぐための対策

1. コミュニケーションルールの明確化

日次報告・週次会議・月次レビューなどの頻度を決め、進捗報告のフォーマットを統一します。チャットツールやタスク管理アプリを活用し、リアルタイムで課題やブロッカーを共有できる体制を作りましょう。 また、重要な合意事項は必ずドキュメント化して残すことで、認識ズレを防げます。

2. スキル・体制の可視化

ベンダー選定時には、営業担当の説明だけでなく、実際にアサインされるエンジニアのスキルシートを確認します。在籍年数・得意技術・英語力・稼働率を明確にしておくと、期待とのギャップを防げます。 特にPM層の経験値が不足している場合、進捗管理が機能しないケースが多いので注意が必要です。

3. 品質指標とレビュー基準の設定

「テスト合格率」「バグ再現率」「コードレビュー指摘数」など、数値で品質を測定できる基準を設定します。主観的な判断ではなく、合意済みの指標に基づいて品質を評価すれば、双方が納得できる結果を得やすくなります。

4. 長期的なパートナーシップ構築

短期契約でコストを削るよりも、同じチームと長期的に協働するほうが、ナレッジが蓄積されて成功率が上がります。専属チーム制(ラボ型)を採用すると、文化理解も進み、改善提案が自然に出てくるようになります。

5. 日本側の責任者を配置

オフショア開発を完全委任にすると、トラブル発生時に原因追跡が困難になります。日本側にもPMまたはリードエンジニアを置き、品質・納期・課題対応の最終判断をコントロールできるようにしましょう。

ベトナムと他国の比較

ベトナムはエンジニアの技術水準や日本語理解力で優れていますが、マネジメント体制と品質管理はまだ発展途上の部分もあります。 一方、インドはプロジェクト管理やテスト自動化のノウハウが豊富で、大規模開発に向いています。ベトナムは中規模案件でスピードとコストを重視する企業に向いています。

国名 平均開発単価*
(USD/時)
JSTとの時差 主なメリット 主な注意点
インド 12 – 20 −3 h30 m 世界最大級のIT人材層、AI・クラウド等の先端技術に強い 離職率・品質ばらつきが大きく、チーム管理が必須
ベトナム 14 – 19 −2 h コストと品質のバランスが高く、日系プロジェクト実績も豊富 人件費上昇・都市部集中による人材偏在
フィリピン 約 8 – 15 −1 h 公用語が英語、BPO業界で鍛えたコミュニケーション力 上級人材は単価が上振れ・通信インフラの地域差
ウクライナ 22 – 30 −6 h(夏時間基準) 欧州品質・数学/AI系スキルが高い 戦時リスク・電力供給不安定
タイ 15 – 21 −2 h インフラ安定、日系企業が多く文化的親和性も高い 英語対応は限定的でBrSEが必須、地方との単価差
ミャンマー 19 – 26 −2 h30 m ASEAN内で屈指の低コスト、若年層豊富 政治・通信の不安定さ、外貨送金規制
バングラデシュ 17 – 25 −3 h 若年人口比率が高く市場が急成長中 大規模案件経験者がまだ少なくプロセス成熟度が低い

まとめ

ベトナムのオフショア開発は、多くの日本企業にとって魅力的な選択肢ですが、「安さ」だけで選ぶと失敗しやすいのが現実です。成功の鍵は、明確な指示・継続的なコミュニケーション・品質基準の明文化・責任範囲の共有にあります。 これらを徹底することで、コストメリットを維持しながら、安定した品質とスピードを両立できます。

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漏えいは避けたい、古い基幹は止めたくない、戦略は現場まで落とし込みたい——オフショア開発の悩みは企業ごとに違います。
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引用元:Innovature Technologies公式HP
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  • アプリ/インフラのセキュリティテスト提供
    アプリ/インフラのセキュリティテストを開発初期から実施し、実装起因の脆弱性を早期に検知・是正。これにより情報漏えいリスクを低減し、修正対応を計画的に進め、例外承認やリリース後の突貫パッチを減らせます。
  • 24×7監視と早期警告体制
    24時間365日の監視と警告体制によって、障害や攻撃をすぐに検知・対応でき、停止や損害を最小化。金融やカード業界の規制に求められる厳格な運用水準も維持しやすくなります。
主な導入業界・企業
【業界】

金融、電気通信、EC、広告&メディア、教育、ヘルスケアなど

【企業】

KDDI、ドコモ、DNP、マクロミル、博報堂、ブリヂストン、リクルートなど

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イナホ・デジタル・ソリューションズ
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    古いシステムに対応できるかどうかを最初に診断し、対応可否・移行方法・期間と費用の目安を提示。そのうえで進め方と担当を明確にし、承認や計画を前倒しに進め、計画していない作業が次々に増えることや手戻りを抑えます。
  • エンドツーエンド対応
    長年の改修や担当交代で複雑化したレガシー環境を整理し、役割分担表で明確化。切り替え手順から運用設計まで一貫支援し、新旧並行で段階的に移行。停止やトラブルを抑え、リスクを軽減します。
  • “市場投入までの時間”最適化
    古いシステム改善を一気に大規模にやるのではなく、業務を整理しながらPoC→パイロット→本番へと小さな成果を積み上げていくことで、リードタイム短縮・コスト削減・稟議通過をしやすくなります。
主な導入業界・企業
【業界】

製造業、医薬品、小売業、メディア、電気通信など

【企業】

※公式HPに記載なし

上流工程
から相談したい
大手コンサル出身者が
戦略の策定から
アプローチまで提案
JP 東京・アンド・カンパニー
JP 東京・アンド・カンパニー
引用元:JP 東京・アンド・カンパニー公式HP
https://jptokyo.co.jp/jp/
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  • 戦略〜実装の一気通貫
    経営アジェンダを投資配分・KPIまで直結し、現場で戦略が形骸化する断絶を防ぎます。全社ロードマップと部門施策の整合を取りやすく、戦略と現場をつなぐ橋渡しをしてくれます。
  • 大手コンサル×事業会社/SIの混成チーム
    経営の期待と現場制約を同時に理解し、実行可能な計画への落とし込みが速いです。事業部間の要件差を吸収しやすく、抵抗の少ない全社展開を進めやすくなります。
  • インド人スタッフ約200名による専用開発体制の実行力
    決定したロードマップを短期で体制化し、多案件を並走させます。時差を生かした分業でリリースを早めつつコストも抑え、スピードと規模を両立しやすくすることができます。
主な導入業界・企業
【業界】

製造業、情報・技術、自動車、ハイテック、建設、教育、金融など

【企業】

※公式HPに記載なし